アイアン・スカイ

SF
[ネタバレあり!]

大戦後、密かに地球外へと逃げ延びたナチス第三帝国は月面上に大規模な基地を建設し再度地上を制圧する日を目論んでいた。そして彼らが70年にわたり着々と準備を進めていた地球奪還計画がついに始動。ハーケンクロイツを背負ったUFOの大群が今地球を埋め尽くす!!

と、まあ要するにバカSFなんですが、ハウニブとかナチのオカルト志向とかを踏まえて観るとあながち荒唐無稽なシナリオでもない、…とか言おうと思ったのだけど冷静に考えるとやっぱ荒唐無稽だわな。でも好きなんじゃい!

世事から離れたまま70年以上経過した閉じた世界で、過去のデータと偏った教育のみで生育した新世代のナチの皆さんのズレっぷりは笑いを誘う反面、生まれてからずっと別世界で暮らしてきた人間の目から見たとき果たしてこの世界は「侵略してでも手に入れたい」と願うほど本当に魅力的なのか、という今作のテーマにも直結しており、作品全体としてはナチ批判というよりもナチの侵略というファクターを通じて世界のバカバカしさや下劣さを描くことに力点が置かれている印象。

米国大統領がどう見てもサラペイリンを意識したオバサン(キャッチコピーは「Yes She Can!」)だったり、彼女の一番の腹心が広告代理店だったり、地上に降りたナチがネオナチに絡まれたりと、現実世界に対する皮肉というか毒っ気の強い小ネタをチクチク入れてくるあたり好き嫌いが別れるところかと思いますが、とりあえずヒロイン・レナーテ役のユリア・ディーツェが異様に可愛いかったので自分的には全てOK。
黒人である主人公ジェームズ(アフリカ系アメリカ人のモデル)が月面でナチに拉致られ、ムリヤリ「白人にされる」(ナチ的には親切のつもり)というブラックなんだかホワイトなんだかよく解らない優生学ギャグは結構お気に入りでした。

終盤「ナチが月面から侵略してくる」という異常事態に際し、国家の垣根を超えて一致団結する人類。共通の敵を見出し、争っていた人類は今ようやく手を取り合って結束するのでした、めでたしめでたし、…とキレイにまとめるのかと思いきや、ナチを撃退した後、月面に存在するヘリウム3の利権を巡り言い争いが勃発。やがて各国首脳陣による阿鼻叫喚の殴り合いバトルへとなだれ込んだ挙句、全面核戦争により地球は壊滅という衝撃の顛末。後には月面にいた主人公たちとナチの子供・老人のみが残されましたとさ、という強烈にシニカルなラストには監督の斜に構えつつも真摯な批判精神が垣間見えて興味深いやら呆気にとられるやら。

ラストシーン、全面核攻撃による爆発が地表のあちこちで発生する地球を月面から眺めたビジュアルは、どこまでもバカバカしく、かつ圧倒的に美しい。

アイアン・スカイ / Iron Sky
公開:2012年
制作:フィンランド・ドイツ・オーストラリア
監督:ティモ・ヴオレンソラ
出演: クリストファー・カービイ / ユリア・ディーツェ / ウド・キア / ゲッツ・オットー 他
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