ニルヴァーナ

SF

クリストファー・ランバート主演によるイタリア製サイバーパンクSF。

1年前に恋人が失踪し失意に沈む主人公の天才ゲームデザイナー・ジミーを始め、ジミーの制作した新作ゲーム「ニルヴァーナ」の主人公で突如として自我に目覚めたAI・ソロ、記憶移植の事故で1年前以前の記憶をごっそり失っているヒロイン・ナイマ、生活のため両目を売りメカ義眼を埋め込んでいるハッカー・ジョイスティックといった一癖も二癖もある登場人物に加え、薄汚れたアラブ人街の雑踏に怪しげな電脳インド人行者、チャイナ服美女にヤクザが経営する寿司バーなどなど、これでもかと言わんばかりにサイバーパンクな、というよりはあからさまにウィリアム・ギブスン的な要素がてんこ盛りで、もうどんだけギブスン好きやねん!という感じ。ジミーにゲーム制作を依頼している日系企業の名称が「オコサマ・スター」社というだけで、ギブスン好きならゴハン3杯はイケるかと。知的なジミーにヒッピー風味全開なジョイスティック、エンキ・ビラル作品から抜け出て来たようなナイマ、ダンディだけどコミカルな丸顔中年ソロと、ビジュアル面の対比も結構楽しめました。

ちなみに今作おけるサイバースペース描写はCGなどは極力使わず「リアルに存在しそうでいてなおかつ騙し絵的」というちょっと不思議なビジュアルで描かれているのですが、かの「JM」の例を引くまでもなくヘタにCGバキバキな「いかにもサイバーサイバーした風景」を作ってしまうと時代の変遷とともにあっという間に古びてしまうわけで、昨今の技術革新速度考慮すると非常に上手いというか斬新なヤリクチだった気がします。まあ、単に予算の都合かもしれないけど。

あと際立つのはやはり監督自身の東洋思想趣味。自分が”虚構内存在”であるという自覚を持ったソロが己の完全消去(救済)を願いつつもゲーム内で延々「死と再生」の滑稽なループを繰り返す様は、まさしく仏教思想で言う所の「輪廻」なわけですが、結局の所ジミーやジョイスティック達の存在する世界もまた映画という「虚構」であって再生されるごとにループを繰り返しており、それを見ている我々視聴者を取り巻く世界だって仏教的には「六道」をグルグルとループしているに過ぎない、という入れ子構造を描く意図が垣間見えて非常に興味深かったんですが、まあ、よくよく考えるとそもそもサイバーパンクと宗教的表現(およびオカルティズム)って結構親和性が高いというか、モナリザ・オーヴァドライヴやGhost in the Shellを例に挙げるまでもなく、電脳ダイブという「魂」と「肉体」の乖離を描く以上「身体という軛を離れた人間の精神はどこへ向かうか」的なテーマに着地してしまうのは結構よくある展開なわけで、そういう意味でも本当に徹頭徹尾「さいばーぱんく」してる映画だなあと思ったり。ジミーの最終的な「達観(=涅槃)」がループからの脱出を示していると考えると、「ニルヴァーナ」というタイトルが俄然重層的な意味合いを持ってきて面白い。

個人的には「マトリックス」とかより全然好きだったなー。

あとどうでもいいですが、ナイマ役のステファニア・ロッカの「イタリア人らしからぬアッサリ顔」(偏見)は、個人的には非常に好みでした。

ニルヴァーナ / Nirvana
公開:1997年
制作:イタリア・フランス合作
監督:ガブリエレ・サルヴァトレス
出演: クリストファー・ランバート / ディエゴ・アバタントゥオーノ / ステファニア・ロッカ / セルジオ・ルビーニ 他

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