いまやすっかり中堅どころの監督となったウェス・アンダーソンの劇場デビュー作。特にこれといって爆笑できるわけでもなし、滅茶苦茶に感動するでもなし、胸躍る大事件が起きるわけでもなしという、言ってしまえば映画的に極めて地味ーな作品ではあるのだけれど、かっちり組まれた構成、突出したセンスの光る演出、人物造形の上手さ等の要素が見事に組み合わさって、本当に素晴らしい作品となっております。
こういう「間」というか「空気」というか、ホント上手いよなあ。天性だよなあ。どのシーンの何処がどうとか、ここが笑えるとかそういうのではなくて映画それ自体の持つ独特の空気感というか「間」というか、微妙に「ヘンテコ」なテンションがどうにもこうにもツボにハマるんですよねコレ。冒頭の人物紹介シーンだけでガッチリ胸ぐらつかまれる映画って、そうそう無い気がする。
映画を構成する各パーツの1つ1つが「粋」というかハリウッド離れしているというか余りに独特なんで、初めはセンス的にイギリスの映画かと思ったものです。小説のように章立てしている構成がウザイという人もいるみたいだけど個人的にはこの手の演出ってめちゃめちゃ好みです。ナレーションと映像の連携が織りなす不可思議かつ絶妙なおかしさ。うう、に、憎い!
映画を見ていて普段は「映像そのもの」にヤられることが多いのだけど、今作に限っては作り込みの過程や演出にガッツリ心を持って行かれた気がするなー。
家庭崩壊やら育児放棄やら家族の事故死やら近親恋愛やら結構重たいテーマを扱っている上に自殺未遂シーンなんかも出てくるのだけど、全編通して淡泊な演出でサクッと見せてくれるので見終わった後あんまり胃にもたれないのもイイ感じです。
The Royal Tenenbaums | |
公開: | 2001年 |
制作: | アメリカ |
監督: | ウェス・アンダーソン |
出演: | ジーン・ハックマン アンジェリカ・ヒューストン グウィネス・パルトロー ベン・スティラー ビル・マーレイ ルーク・ウィルソン 他 |
![]() [DVD] ザ・ロイヤル・テネンバウムズ |
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