ラブ&ポップ

ドラマ

前作『THE END OF EVANGELION Air / まごころを、君に』において作品世界を完膚無きまで解体し作家自身が自己をさらけ出すという、所謂キャラ萌えファンを支持層の大半に持つ「ニッポンのアニメ」という媒体にはあるまじき暴挙によって「アニメ作家としての自己」を強制的に殺害した庵野秀明監督の「新生」第1歩として制作された初の実写作品。映画全体を通して「心機一転!!脱エンタメ・脱オタク!」という異様な気迫が伝わってきて、見ていて非常に心に響きました。気合いが暴走してほとんど実験映像みたいになってるあたりも微笑ましくてGOOD。

まあ、お世辞にも「上手い」映画じゃないし、公開当時も確かに賛否両論はあったわけだけど、個人的にこの作品はやはりスキですね。「名作」と言っても過言ではないくらい。表層的なカッコ良さを追求したPV的な感覚とは一線を画しつつも、凡庸な表現に陥ることのない斬新で効果的な画面作りがきちんと出来るというのは非常にうらやましい限りです。確かに市川崑やら実相寺昭雄やらの影響が見え過ぎという批判も多々あったけれど、そういった影響をコラージュして強引に自分のテイストにしてしまうってのも、やはり1つの才能ではあると思う今日この頃。コラージュにだってやはりセンスは絶対に必要不可欠なのです。

ただ、この作家が自分にとって非常に重要な位置にいる理由って、おそらく映像の善し悪しでもストーリーでもキャラでもなく、その作品を通して作家自身に強烈なシンパシーを抱かせる点なんだろうな、と思ったりするのも確かなんですよね。いくら「物語」を語ろうと、その向こう側に個人的なペシミズムやら開き直りやら前向きな姿勢やら諦念やらといった「作家自身」が透けて見えるあたりが自分的に非常にツボなんだと思う。まあ「合う合わない」的な要素だけではなく、他にも評価すべき点は多々ある作家ではあるのだろうけど、自分にとって、この作家の作品を見続けるただ1つの理由はやはり「言ってることに非常に賛同できるから」なわけですね。たぶん従来のアニメファンが期待する庵野秀明と、自分の期待する庵野秀明って、全然別の表現者なんだろうなーとは思う次第。どっちがいいとか優れているとかいう話ではなく。

というか、今作がもう10年前の映画になっちゃったという事実に愕然。もはや実写においても「新人」ではなくなり、新エヴァでエンタメ・アニメ界に凱旋を果たした映画監督・庵野秀明の明日はどっちだ!?


Love & Pop
公開:1998年
制作:日本
監督:庵野秀明(新人)
出演: 三輪明日美
仲間由紀恵
三輪ひとみ
渡辺いっけい
浅野忠信
平田満 他


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