キャリー

ドラマ

ブライアン・デ・パルマ監督による、世界一泣けるホラー映画。というかもう自分の中ではホラーなどではなく「非常に繊細に作り込まれた青春映画の傑作」以外の何ものでもないですね。結果「鬱屈したいじめられっ子が超常的な能力で復讐」という王道パターンを作りだし亜流のホラー作品(デビルスピーク等)を後年大量に生み出したわけなんですが、それはそれとして。

思春期における精神と肉体の変化に対するグラグラ感と、学校という本来狭い範囲でしかない「閉じた世界」の中で浮き上がってしまう自己に対する嫌悪感、言いたい事を飲み込みすぎて悶々とする鬱屈感。これはアレですよ。華やかでサワヤカで眩いばかりの青春を過ごしてる周囲にどうしても溶け込めず、内側に籠もって鬱屈したリビドーを変な方向で暴発させるくらいしか抵抗できないドロドロでグダグダで薄暗い青春を過ごしていた全ての人間にとってバイブルみたいな映画ですよ!(自分で言ってて死にたくなってきました)

つーか毎度ながらデ・パルマの過去に一体ナニがあったというのだ(笑)

キャアキャア悲鳴を上げるだけのアメリカーンでボイーンなチアガール娘らが鉈だの斧だのでバカスカ殺されまくるようなホラー映画の演出からは程遠い、余りにも繊細で愛情に満ちた人物描写は、この作品を一般的な残酷映画にだけはしたくないというデ・パルマの決意が感じられて非常に好感が持てます。前半のキャリーの「うじうじ加減」とか見ていて正直「イラっ」とするのも確かなんだけど、そこら辺のキャラ作りも非常にリアルですよね。

途中から担任の先生みたいな心持ちで「がんばれキャリー!!」的な視点になってしまい、ラストの救い様の無さを知っているにも関わらずついプロムのダンスシーンでハッピーエンドにしちゃっていいじゃん、とか素敵な彼氏が出来てお母さんも改心して、後は「幸せに暮らしましたとさ」でいいじゃん!とか本気で思ってしまった次第。いやもうホントににいい娘なのよキャリー。

ラスト、プロムの晴の場で「豚の血」を浴びせかけられて茫然自失となったキャリーが「全ての人間が自分を笑っている」という幻覚に落ち込み、絶望と憎しみの余り彼女を支持してくれた教師も優しくしてくれた男子も、みんなひっくるめて大虐殺してしまうあたりは「何もかもひっくり返して全部台無しになってしまえ!」という思春期特有の破滅的な衝動が痛いほど感じられてどこまでも悲しいです。これほどまでに悲しい殺戮シーンのある映画なんて後にも先にも他に無いですよ。帰宅して風呂で全身の血を洗い流してから初めて涙を流す姿が本当に痛々しくてうあああああ。

もうアレだ。明日から全国のTSUTAYAは可及的速やかに本作をホラー棚から撤去・青春コーナーに移動するよーに!いっそラブロマンスコーナーでも可。


Carrie
公開:1976年
制作:アメリカ
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演: シシー・スペイセク
パイパー・ローリー
ウィリアム・カット
ナンシー・アレン 他


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