クワイエットルームにようこそ

ドラマ

物凄くバカバカしい小ネタの応酬やらヒネりの効いたセリフ回しやらで笑いを取りつつその実思い切りヘビーな事を言っている、というのが松尾演出の特徴だとはある程度理解していたので、観た後かなり「重たい」気分になる映画だという覚悟は観る前から多少はあったのだけど、ちょっと自分的に重すぎて胃にもたれ気味だったような。やっぱりODで緊急搬送されてゲロゲロな描写とか前面に出されるとキツいですよね。

ただ、今作が映画として秀逸だったのは「薬物の過剰摂取で精神科に強制入院」というある意味エキセントリックな題材をただいたずらに面白おかしく描き出すのでではなく、ナアナアな甘さも無ければ御都合主義的な救済もない極めてドライな視点で、真っ正面から「絶望」を見つめ、その上で「嫌でも続いてしまう人生」とどう向かい合うのか、という問題をきちんと描いていたことではないだろうか、と思ったり。

今作には目に見える形での「救い」も、ハッピーエンドという極めて押し付けがましい「予定調和」も無い。慰めとなる優しい言葉も無い。映画が終わった後「物語」は映画の尺を超え、観客1人1人の思考の内へと託される。そこに何を見るかは各々の「現実」の捉え方次第だ。ただ、全てをリセットして再起動した後の突き抜けるような空の青さ、その美しさは、どんな御都合主義的な甘い言葉よりも説得力があるというか、現実と前向きに向かい合う原動力に成り得るようには感じた。

どーでもいいけど宮藤官九郎って作家(監督)としてはあまり好きじゃないんだけど役者としてはホントいい味出す人だよね。松尾スズキの使い方が上手いのか。主演の内田有紀はかなりの難役をよく演じたと思います。何かだいぶ昔の「元気キャラ」なイメージが強くて個人的には余り関心の湧かないタイプの女優さんだったんだけれど、今回でちょっと印象変わりましたね。拒食少女を演じた蒼井優に関しては、何つーかもう文句の付けどころがないですな。ミーハー根性ではなく本当に良い女優だと思う。


Welcome to the Quiet Room
公開:2007年
制作:日本
監督:松尾スズキ
出演: 内田有紀
宮藤官九郎
蒼井優
りょう 他


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