ライフ・アクアティック

コメディ

傑作「ロイヤル・テネンバウムズ」で各映画賞を総嘗めにしたウェス・アンダーソン監督の劇場2作目。まあ、実際1作目が素晴らしかった監督の次作品って大体、同じ系列のテーマを扱って「前と同じやん!」というツッコミを入れられるパターンか、逆に無理してかけ離れたジャンルに手を伸ばしあえなく自爆するパターンのどちらかに陥りがちだと思うんだけど、今作はこの監督の持ち味である「かっちりした構成、センスの良い演出、人物造形の秀逸さ」は前作のクォリティを維持したまま、しかも前作には無いアクション(?)や特撮(CGではない)などの新たな要素を盛り込むなど映画として非常に完成度の高い作品に仕上がっていたと感じます。

まあ考えてみたら「ロイヤル~」は1つ屋根の下に押し込められた家族間の悲喜劇、こちらは船の中に押し込められた疑似家族のドタバタ、というわけで、それほどかけ離れた題材でもなかったわけですね。

著名な海洋冒険家にしてドキュメンタリー監督でもあるがどこか胡散臭い主人公を演じたのは、ロスト・イン・トランスレーションで2003年アカデミー主演男優賞を取ってしまったビル・マーレイ。今作はウェス監督が彼を念頭においてプロットを書いたというだけあって、まさにハマり役。この人ってゴーストバスターズの頃からかなり好きな俳優なんだけど、胡散臭くて嫌味な人物を演らせたら彼以上の存在はちょっと思い浮かばないですね(「3人のゴースト」での人非人っぷりは素敵すぎる)冒頭の主人公が監督した「ドキュメンタリー作品」の映像からして、胡散臭さ120%で素晴らしい。「新種のジャガー鮫に襲われた!」って何だよ(笑)

その他ジェフ・ゴールドブラム、ウィレム・デフォーなど渋い配役が多いのも嬉しい限り。デフォーは今回主人公を尊敬するあまり彼の息子に対して嫉妬の炎を燃やすエンジニアといった役どころなんだけど、彼がこういうコミカルな役を演ずるのって初めて見たんで、この人こういう路線もイけるんだとちょっと感心しました。ホントいい役者だよなあ。

BGMはウェス・アンダーソン監督の全作品をほぼ手がけている、DEVOのマーク・マザーズボー先生。一度聴いたら脳ミソにこびり付いて離れないチープなピコピコ音満載のメインテーマは心底「らしい」の一言。

ちなみにこの映画で登場する海中シーンおよび海洋生物は、全て特撮(CGではなくモーションアニメ)で作成されており、確かに賛否両論あるかとは思うのだけど個人的にはどこか懐かしいというか、幻想的で非常に美しい映像だと感じました。リアリティはさておき。

しかしながらこういうノスタルジックなテイストの海中シーンって、以前にどこかで見たことあるよなーとか思ってたら「トム&ジェリ-」を初めとするハンナ・バーベラのアニメに出てくる海の中にそっくりだということに気がついた。1940年代あたり、「海」がまだまだ不思議の宝庫だった時代の描写ですね。この映画全体がその辺りのノスタルジーを意図的にまとっていることは明々白々なのだけど(なんせ「海洋」で「冒険」ですから)その狙いと自分の幼少期のイメージが合致するのって、なんかちょっと嬉しいですね。


The Life Aquatic with Steve Zissou
公開:2004年
制作:アメリカ
監督:ウェス・アンダーソン
出演: ビル・マーレイ
オーウェン・ウィルソン
アンジェリカ・ヒューストン
ケイト・ブランシェット 他


ライフ・アクアティック [ ビル・マーレイ ]

ライフ・アクアティック [ ビル・マーレイ ]
価格:1,000円(税込、送料込)

画像をクリックすると楽天の商品にジャンプします

コメント

タイトルとURLをコピーしました